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論文・学会発表 |
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| 学会発表 |
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「現代朝鮮語の言語規範-その変遷と認識度調査を中心に-」
(要旨)
『語学研究所論集』
第7号,pp119-144,東京:
東京外国語大学語学研究所, 2002年3月.
朝鮮語は大韓民国(韓国)と朝鮮民主主義人民共和国(北朝鮮)を中心とした多くの地域で使用されている.言語としては本来同一であるが,国語政策による語彙,発音,正書法などの差異が存在する.本稿ではまず1933年から現在に至るまでの韓国と北朝鮮の言語規範の変遷を概観する.
次に,韓国人に対するアンケート調査を通して,その規範がどの程度人々に認識されているのかを明らかにする.アンケートはハングル綴字法に関する質問30問と,外来語表記法による日本語表記に関する質問6問である.そして,ハングル綴字法に関する質問の内訳は語彙と語尾の選択に関する質問が10問,表記に関する質問が10問,分かち書きに関する質問が10問である.全30問の平均正答率は63.5%だった.
語彙と語尾の選択に関する質問の正答率は55.9%で最も低かった.基本的に語彙に対する規範意識は希薄だと言える.そしてある語形が口語体で頻繁に使用されるため,その語形が規範形であると認識された単語もあった.また品詞に対する認識が薄い単語もあるようである.
表記に関する質問の正答率は65.7%である.現行の規範では似通った言語環境にあっても場合によって,異なる表記方法を採用しているため,それが韓国人の規範に対する誤認の原因になっている.
分かち書きに対する質問の正答率は69%である.分かち書きは全体的に正答率が高い.しかし,その中でも補助用言に対する分かち書きの認識は薄いと言える.そして綴りは同じであっても意味,品詞などの差異によって分かち書きが異なる部分に間違いが多く現れた.
日本語表記に関しては促音「ッ」に対するものが最も正答率が高く,長音,「ツ」,語頭の清音の表記の正答率が低かった.
規範が作られて約70年が過ぎたが,韓国人全体が規範を正しく認識しているとはまだ言いがたい状態であると言える.今後,人々に対する認識度調査,そして語彙使用などの実態調査を行い,規範の修正,検討をする必要があろう.
「中期朝鮮語の-오-について―連体形の場合―」(要旨)
『朝鮮語研究』
第1号,pp.65-107,
朝鮮語研究会編,東京: くろしお出版,2002年3月.
現在は消滅してしまった中期朝鮮語の形態素-오-(-o-)の出現環境と機能を連体形の場合を中心に論じた.用例は『釋譜詳節』と『諺解三綱行実図』から連体形1620例を収集し,それを元に考察を行った.
出現環境については主に統辞・意味論的観点から分類を行い,-오-(-o-)の出現環境を明らかにした.対象法をはじめとする統辞論的観点から行われた従来の研究では例外として処理されてきた用例がかなり存在している.本稿では詳細な出現環境の下位分類を行い,対象の幅を広げ「広い意味の対象」と考えることができることを主張した.同時に「アクチュアリティー」という概念を導入することによって,出現環境のみを考えると-오-(-o-)があらわれるべき用例に,-오-(-o-)があらわれない理由を明らかにした.
また,時相の接尾辞と-오-の共起関係についても計量的な資料を提示し,時相の接尾辞として「-거-,-더-」があらわれる時には-오-があるものとないものの対立が失われており,「--」があらわれる時にのみその対立が残っていたことを論証した.
本稿では-오-の機能を2次元でとらえ,「アクチュアルな場面において,被修飾語が修飾部のあらわす動作の(広い意味での)対象であることをあわわす」と結論付けた.
「現代朝鮮語の動詞の連体形「한」について」(要旨)
『朝鮮学報』
第183輯,
pp.23-50, 天理:
朝鮮学会,2002年4月.
本稿の目的は現代朝鮮語の連体形語尾「-ㄴ/은」が,動詞と結合した形である「한」の意味と機能を明らかにすることである.本稿で考察の対象とした用例数は1120例である.用例は韓国で90年以降に刊行された小説から収集した.
「한」があらわすことができる意味は1)現在と切り離された過去の事柄,2)現在の状況に影響をあたえている過去の事柄(状態パーフェクト),3)現在の状態の3つである.
「한」があらわす各々の意味を動詞のアスペクト的クラスと関連付け考えると,「現在と切り離された過去の事柄」をあらわす場合にのみ,「한」の形をとる動詞には何の制限も存在しない.「한」は動詞の動作が終了の局面を越え,そしてその動作が過去の事柄であることをあらわすのである.
「状態パーフェクト」と「現在の状態」は動詞が持つアスペクト的特性などによってその意味が付加されるものである.そのため,「한」が「状態パーフェクト」や「現在の状態」をあらわす固有の形式であるとは考えられない.「状態パーフェクト」は自動詞では主体が変化するもの,他動詞では客体が変化するもののみが,その意味をあらわすことができる.「現在の状態」は状態性動作動詞と状態動詞のみが,その意味をあらわすことができる.
以上の事実から本稿では「한」が「過去をあらわすテンス形式」であると結論付けた.
「冠形詞形にあらわれる-오/우-の機能」(要旨)
原題(관형사형에 나타나는
‘-오/우-’의 기능)
『國語學』 42,pp.83-113,
ソウル: 国語学会,2003年12月.
本稿では「中期朝鮮語の-오-について―連体形の場合―」の連体形の用例1620例に,前段階では考察の対象としていなかった動名詞形語幹形成接尾辞122例を追加収集し,さらに動名詞形にあらわれる-오/우-の用例を297例を収集,それを元に考察を行った.
-오/우-があらわれる条件を見ると,-오/우-は被修飾語が修飾部の「広い意味の対象」になっている時,または修飾部と被修飾語が名詞化の関係にある時挿入される.そして修飾語が引用動詞である時は-오/우-は必ず挿入される.
本研究では-오/우-の機能を「顕在性(アクチュアリティー)」を表示するものと結論付けた.修飾部と被修飾語の関係を見ると-오/우-があらわれることが予想される用例にも,修飾部があらわす事実が顕在的な場面で実現する動作や状態でなければ-오/우-があらわれないためである.ただし,顕在性は引用動詞と動名詞形には影響を及ぼさない.
動名詞形にあらわれる-오/우-は-오/우-が挿入されるものと,挿入されないものの対立がなく,また,時相の接尾辞とは結合が可能であるが,尊敬や謙譲をあらわす接尾辞との結合が不可能であるという点で連体形にあらわれる-오/우-とは異なる形態素である.引用動詞も-오/우-が挿入されるものと,挿入されないものの対立がなく連体形とは異なる.動名詞形,引用動詞にあらわれる-오/우-はアクチュアリティーの影響を受けないという点から見ても,連体形にあらわれる-오/우-とは異なる形態素 と考えられる.
本稿では-오/우-の機能を動作や状態の顕在性をあらわすことと見た.それにより,従来処理できなかった形容詞,存在詞,指定詞にあらわれる-오/우-も同一概念の元で解釈可能であることを明らかにした.-오/우-は出現環境を見ると修飾部と被修飾語が「(広い意味の)対象」,「名詞化」の関係にある時にあらわれるが,実は-오/우-の出現全体を支配しているのは 顕在性であると言える.
「隣語大方の朝鮮語―表記,音韻,形態を中心に―」(要旨)
(原題: 隣語大方의 朝鮮語―表記,音韻,形態를 中心으로―)
朝鮮語研究会
第193回研究会 発表論文[2003年1月11日]
『隣語大方』は18世紀から19世紀にかけて,朝鮮では日本語学習用教科書として,日本では朝鮮語学習用教科書として用いられた資料である.
『隣語大方』には刊本や写本などの諸本が存在するが,本研究ではその中でも1790年に李王朝の司訳院で刊行された刊本の朝鮮語にあらわれる表記的,音韻的,形態的特徴を考察した.内容は以下の通り.
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1 序言 2 書誌事項 3 先行研究 4 表記 4.1 初声 4.2 中声 4.3 終声 4.4 語中(母音間)の「-ll-」表記 4.5 語中の有気音の表記 4.6 体言の曲用形 4.7 用言の活用形 5 音韻 5.1 t口蓋音化 5.2 円唇母音化 5.3 ・の非音韻化 5.4 硬音化 5.5 激音化 |
5.6 語頭のㄴ,ㄹ音回避(頭音法則) 6 形態 6.1 助詞 6.1.1 主格助詞 6.1.2 対格助詞 6.1.3 処格助詞 6.1.4 与格助詞 6.1.5 属格助詞 6.1.6 共同格助詞 6.1.7 具格助詞 6.2 補助助詞 6.2.1 -은/는 6.2.2 -셔 6.2.3 -지 6.3 ㅎ曲用 7 結論 |
同時に,本稿では『隣語大方』にあらわれる朝鮮語が『伍倫全備諺解』(1721年),『女四書諺解』(1736年),『御製常訓諺解』(1745年),『御製訓書諺解』(1756年),『敬信録諺釋』(1796年),『綸音諺解』(18世紀末葉)をはじめとする18世紀の他の文献と比較して,どのような特徴を持っていたかを明らかにした.
「中世韓国語‘ㅸ,ㅿ’不規則活用の処理方法―語基論の観点から―」
(要旨)
(原題:중세한국어 ‘ㅸ,ㅿ’불규칙활용의
처리 방법―어기론의 관점에서―)
『形態論』5巻2号,pp.367-377, ソウル:
博而精,2003年9月.
中世韓国語(中期朝鮮語)の‘ㅸ,ㅿ’不規則活用の処理方法については現在まで活発な議論が繰り広げられてきた.その主な争点は‘ㅸ,ㅿ’を語幹末子音として持つ形態を基本形に設定して規則活用と見るか,‘ㅂ,ㅅ’を語幹末子音として持つ形態を基本形に設定して不規則活用と見るかというところにあった.本稿では語基の観点から見たとき,‘ㅸ,ㅿ’不規則活用をどのように記述することができるかについて述べたものである.
中世韓国語の記述に語基を用いた研究は多くなく前間恭作,河野六郎,志部昭平の論があるのみと思われる.本稿ではまずそれらの語基に対する記述を整理し,それぞれが不規則活用をどう扱い,基本形をどのように設定しているかを見た.そして,それら研究の持つ矛盾点や問題点などを指摘した.
結果として本稿では従前の研究とは異なり,‘ㅂ,ㅅ’を語幹末子音として持つ形態に‘-다’つけたものを基本形と見て,不規則活用と扱うのが妥当であると主張した.あわせて,謙譲法語幹形成接尾辞‘-//-’の記述方法についても簡単に言及した.
[最終更新日時:2010/08/14 21:59:48]